SONYαシリーズのフルサイズミラーレスカメラにおすすめのズームレンズを調べていると、TAMRN(タムロン)の2つのレンズが選択肢に挙がるかと思います。
・タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)
・タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)
今回は性能や価格、利便性などの面からどちらを選ぶべきかを考えていきます。
1.タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)の特徴
タムロン28-75mm F2.8の特徴について簡単に説明します。
1-1.タムロン28-75mm F2.8 の特徴
1-1.タムロン28-75mm F2.8 の特徴
株式会社タムロンからSONYαシリーズのEマウント用に2018年5月に発売されたズームレンズです。
写りは非常に良好なことや、SONY純正のF2.8通しの標準ズームレンズと比較しても価格が約1/3となっているため、発売開始からずっと人気のレンズです。
SONYやSIGMAの標準ズームレンズは焦点距離が24-70mmとなっていますが、タムロンは28-75mmとなっています。
また、最短撮影距離が約19cmということから「寄れるレンズ」としても人気です。
(最短撮影距離が短いと被写体との距離が短くてもピントを合わせることができます。)
2.タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)の特徴
タムロン28-200mm F/2.8-5.6の特徴について簡単に説明します。
2-1.タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 の特徴
2-1.タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 の特徴
こちらは2020年6月に発売された高倍率ズームレンズです。
28-200mmということで広角から望遠までカバーできるなんでも屋レンズです。
28mm時にF2.8で利用できるというのは驚きです。
SONY純正の高倍率ズームレンズの焦点距離は24-240mmですが、F3.5-F6.3と明るさに掛けてしまう難点に加え、最短撮影距離、解像感、重量、サイズともに少々扱いづらいレンズとなっています。
タムロン 28-200mm F/2.8-5.6の焦点距離変更時の最小F値については次の通りです。
焦点距離 | 最小F値 |
28mm~31mm | F2.8 |
32mm~42mm | F3.2 |
43mm~78mm | F3.5 |
79mm~112mm | F4.5 |
113mm~147mm | F5.0 |
148mm~200mm | F5.6 |
3.画質に差はあるのか?
両レンズの画質に差はあるのかについて見ていきたいと思います。
3-1.MTF曲線(タムロン28-75mm F2.8)
3-2.MTF曲線(タタムロン 28-200mm F/2.8-5.6)
3-3.どっちの方が画質が良い?
3-1.MTF曲線(タムロン28-75mm F2.8)
これだけで100%性能がわかるわけではありませんが、レンズの性能を確認する際に1つの指標となるのがMTF曲線です。
見方は結構単純で、左から右に向かってセンサーからの距離を示しているので、その距離に対してどれくらいの解像感とコントラストを再現出来ているかを確認できます。
基本的には、「10本/mmが高ければ解像度が高い」、「30本/mmが高ければコントラストが高い」と捉えるとわかりやすいかもしれません。
また、放射方向(実線)と円周方向(点線)が同じような曲線を描いていると、自然な描写でボケ感の良いレンズと判断することもできます。
■タムロン28-75mm F2.8(焦点距離:28mm)
焦点距離が28mmの場合、35mm判フルサイズでは10本/mmが0.85~0.9になっています。この数値は非常に高い数値で解像感は非常に良い事がわかります。30本/mmを見ると0.4~0.5になっていますが、広角側の絞り解放で30本/mmが0.4ほどあればコントラストも充分な部類に入るため、「解像感」「コントラスト」「自然な描写」ということがMTF曲線から読み取ることができます。
■タムロン28-75mm F2.8(焦点距離:75mm)
焦点距離が75mmの場合、35mm判フルサイズでは10本/mmが0.75~0.9になっています。放射方向(実線)と円周方向(点線)が逆の曲線を描いています。30本/mmを見ると0.4~0.65になっています。こちらも放射方向(実線)と円周方向(点線)が逆の曲線を描いています。
これらの情報から、「解像感」「コントラスト」は高いが、「描写力」が少々不足しているということがわかります。
ただ、このレンズのMTF曲線はF2.8(解放時)のものなので、F値を絞ることで描写力などは向上するかもしれませんので、やはりMTF曲線だけで判断するのは難しいかと思います。
3-2.MTF曲線(タムロン 28-200mm F/2.8-5.6)
タムロン 28-200mm F/2.8-5.6のMTF曲線を見ていきます。
こちらは望遠側が200mmで解放F5.6となっています。
■タムロン 28-200mm F/2.8-5.6(焦点距離:28mm)
同じ28mm F2.8でも結構な違いがあります。
10本/mmを見るとおおよそ0.8ほどで、30本/mmを見ると0.55ほどです。
タムロン28-75mm F2.8に比べると、「解像感」は少々劣るものの「コントラスト」は高いことがわかります。
■タムロン 28-200mm F/2.8-5.6(焦点距離:200mm)
望遠側は非常に高い解像感と高いコントラストだとわかります。
焦点距離が200mmの際にもハッキリ描写できることが見て取れます。
3-3.どっちの方が画質が良い?
両レンズのMTF曲線を見比べると28mmの解放時には、タムロン28-75mm F2.8の方が自然な描写と高い解像力があるといえます。
望遠になると解放F値の差も関係するため比較はできませんが、両レンズとも解像感に高いコントラストということがわかります。
また、公式の作例やユーザーの作例を見ても、どちらも隅々までくっきり描写できていることがわかります。両レンズともそれなりに周辺減光や歪曲収差などがありますが、タムロン 28-200mm F/2.8-5.6の方が顕著に出ている印象があります。
タムロン28-75mm F2.8では、75mmという望遠時にF2.8で利用できる強みもありますが、絞った際の画質はどちらの方が良いか判断は難しいでしょう。
6.結局どっちを選ぶべきか
結局どちらを選ぶべきか
6-1.タムロン28-75mm F2.8 を選ぶ場合
6-2.タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 を選ぶ場合
6-1.タムロン28-75mm F2.8 を選ぶ場合
次の場合は、タムロン28-75mm F2.8 を選ぶと良いかもしれません。
■ポートレート
ポートレートでは、背景ボケを利用した撮影が必要とされます。F2.8通しという性能は最低限欲しいところです。
■室内撮影
室内での撮影が多い場合、暗所なども多くなるため、F2.8通しという性能が重宝されるシーンが多くなります。
■動画撮影
動画撮影では、特殊な場合を除いて焦点距離が70mmを超えるシーンは少ないかと思います。
子供の運動会や室内でのスポーツなどでは200mmは欲しくなるかもしれませんが、そうでない方はあまり必要としないのではないかと考えます。
また、野鳥や動物撮影の場合は200mmでも足りないシーンが多くなるため、別途選択肢が出てくるかと思います。
6-2.タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 を選ぶ場合
次の場合は、タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 を選ぶと良いかもしれません。
■コスパ重視 & オールラウンド
今後レンズをあまり買わないように、お金を掛けないように1本で何でも撮りたいという方は、こちらのレンズになるかと思います。
このレンズと広角レンズがあれば困るシーンは無くなるのではないのではないでしょうか。
■旅行メイン
旅行では荷物を極力減らしたり、レンズ交換をしなくて済む、ということが非常に重要となります。
このレンズは完全に旅行向きのレンズなので、旅行好きな方は絶対に持っておきたいレンズとも言えます。
今回はTAMRON(タムロン) 28-75mmと28-200mmどっちを選ぶべきかについてまとめさせていただきました。
※本記事にはタムロン公式「https://www.tamron.jp/」の画像を使用させていただいてます。